時代は平成から令和に、アニメは手描きからCGに
久しぶりのブログ更新になりますね。
結構長くなると思いますすいません。
解釈違いがあったらすいません。
はじめに
最近の日本映画はコナンを筆頭にアニメ映画が頭角を現してきていますね。
今回の記事はアニメを語る上で欠かすことの出来ない存在となっている
CGについて言及していきたいと思います。
CGについての記事は前からちょいちょいしたためていたのですが
記事として更新するタイミングが難しかったですね(単純にサボりですけど)
今年も例年よろしくアニメ映画が続々と劇場を賑わせています
- アカデミー長編アニメーション映画賞
- ゴールデングローブ賞アニメ映画賞
- アニー賞 7部門受賞 など(他にもたくさん受賞している!)
※アカデミー長編アニメーション映画賞をディズニー社、ピクサー社以外が受賞したのは実に8年ぶりという快挙!
というアメリカの様々なコンテストを総なめにしてきたCGアニメーション映画が
日本でも旋風を巻き起こしていますね
噂に違わずめちゃくちゃ素晴らしい作品でしたので
この映画は個人的にかなり衝撃的で忘れていなければ理由を後述したいと思います。
そして夏に公開予定のポケモン劇場版が
興行収入が70億円を超え、米興行収入記録は8000万ドルにも及ぶ作品となりました
ミュウツーの逆襲のリメイクということで20年の時を超えてフル3DCG作品となって甦ります
ポケモン映画のリメイクは初の試みですし、フル3DCGもシリーズも初ですね。
他にもフル3DCGで制作される映画は多く
アニメファンにとっては劇場に足を運ぶことが多くなる夏なのではないでしょうか
今年公開のアニメ映画(一部を除く)
- バースデー・ワンダーランド
- 薄暮
- プロメア
- LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘
- 海獣の子供
- 青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない
- きみと、波にのれたら
- セントコロール コネクト
- トイ・ストーリー4
- ミュウツーの逆襲 EVOLUTION
- 天気の子
- ドラゴンクエスト ユア・ストーリー
- HELLO WORLD
-
空の青さを知る人よ
など
これからも映画におけるCGの成分は増え、その割合も上がっていくでしょう。
アメリカと日本のCG
今や映画において見ないことの方が少ない技術、それがCG。
かつては貴重なものとして重宝された時期もあります。
技術の進歩により敷居が下がり多用されることとなったCGはクオリティも高くなっていきました。
しかし皮肉にも多用されるあまり、いつしか「手抜き」というレッテルを貼られてしまい、
CGに頼った映画は出来が悪いという評価も受けてしまうこともありますね。
世界で初めて全編がCGで制作された
ピクサー制作のトイ・ストーリーが公開されたのは1995年でした。
1561カット、時間にして77分のフル3DCG映画として
4年がかりで完成したトイ・ストーリーはアメリカにおける興行収入だけでも
1億9000ドルを記録する大ヒットとなりました。
一方、ディズニー社はアニメーション映画自体としては1937年に白雪姫を発表し、
世界初のカラー長編アニメーション映画として世に送り出していたにもかかわらず
フル3DCG映画に着手したのは2005年に公開されたチキン・リトルが最初です。
ディズニーは白雪姫やシンデレラなど、手描きアニメーションを制作していましたが
(2009年公開のプリンセスと魔法のキス、2011年公開のくまのプーさんを除く)
チキン・リトルを機に3DCGへ制作体制を移行しました。
ここで興行収入を見てみましょう
アカデミー長編アニメ映画賞を受賞している3作品が興行収入ワンツースリーです
反対に、手描きのプリンセスと魔法のキス、くまのプーさんが落ち込んでいますね
※ルイスと未来泥棒は本来2006年公開の予定だったが、ピクサーの買収によってジョン・ラセターの指示を受けた結果、公開を延期し全面的に作り直されるなど制作の裏側での複雑な混乱があり、制作費及び興行収入などが下落することになってしまった。
ディズニー社はチキン・リトルを制作する前に2Dアニメーターを大量解雇
してしまっていたのもあり、完全に舵を3DCGに移行しました
作品の源流が
白雪姫やファンタジアによるフルアニメーション
そしてハリウッド映画といった傾向にあるので
今までのかたちのままフル3CGを作るうえで
不条理な映像や、ダイレクトな訴求力をストーリーに落とし込むことを考えた場合、
一番理に適っている技術がCGなのだと思います
一方日本ではリミテッドアニメーションがメジャーであり、
もっと遡ると漫画にルーツがあると思います
アメリカ(ハリウッド)式の「映像を見せる」映画というよりは
「一枚絵の連続を見せる」という技術からなる作品が多いので
フル3DCG作品を制作する上で、
・上手いアニメーターを中心としたアニメーション作り
・カット毎に枚数の変わるメリハリのある作画
という、これまで作り上げてきた日本作品の特質が障壁となってしまったのです
日本でフル3DCGアニメーションがアメリカほどに普及していないのはなぜか。
その理由をかつてスタジオジブリに所属していたプロダクションI.Gの石井智朋彦さんが
CGの過去と未来を語るインタビューで言及していました
「なぜ日本では CG アニメーションが根付かないのか」を探ってきました。そこからわかってきたのは、第一に予算をかけすぎ、第二に技術に依存しすぎ、第三に各社が独自の体制でバラバラに制作しているから、というのが僕なりのここまでの総括です。(中略)宮崎監督の存在があまりにも大きかったので、「絵が描けなければ監督ではない」という、アニメーター中心の時代が80〜90年代にかけて続いてしまった。この価値観が、長らく日本のアニメ界でブレイクスルーが生まれなかった要因のひとつになったのではと感じています。
http://www.toei-anim.co.jp/sp/ee_cgmovie/interview/007.html
そこで日本人に好まれる漫画やリミテッドアニメーションを合体させたものが
セルルックの3DCGだと思います
例えばセルルック3DCG作品の例としてブブキ・ブランキを挙げてみましょう
『ブブキ・ブランキ』(舞武器舞乱伎)は、サンジゲン制作による日本のアニメ作品。テレビシリーズとして、2016年1月から3月にかけて放送された。第12話(最終話)放送時にCMにて続編制作決定が発表され、10月から12月にかけて『ブブキ・ブランキ 星の巨人』(ブブキ・ブランキ ほしのきょじん)のタイトルで放送された。サンジゲン10周年記念作品。 (Wikiから)
この作品はアニメ版第二期に加え、劇場版も制作されました。
上の石井さんのインタビューから見てみると
・予算かけすぎ ⇒ 1作品+αのセルルックで続編制作が可能(再利用出来る)
・技術に依存しすぎ ⇒ 完成されたモデリングの共有で技術の均等化が可能
・独自の制作体制 ⇒ 全ての作業を内製で終えることが出来る
というようにこれまでの日本の制作特質を十二分にクリアしたものが
セルルックアニメーションなのではないでしょうか
参考:https://www.pixivision.net/ja/a/3122
アメリカ式の映画と日本の映画を挙げた上で触れたい作品が、
忘れていませんでしたね
冒頭で名前を出した、スパイダーマン:スパイダーバースです
自分が革新的だなと思った点は画です
原題を Spider-Man: Into the Spider-Verse とするこの作品は
2018年にアメリカで制作された作品なのですが
かなり日本的な映像作りになっていて
一枚絵としての完成度が高いカットが非常に多いように思えました
特に顕著なのが作中に登場する
日本の漫画やアニメをモチーフにしていそうな日系キャラの
ペニー・パーカーの描き方でした
中割りをガッツリ減らしたキビキビした動きを終始見せており
描き方からキャラのディティールが伝わる体験は新鮮でした
作品全体を通してジャパニーズテイストな雰囲気をブレンドしていながら
アメリカ生まれアメリカ育ちのスパイダーマンとしてかたちを完成させつつ
1キャラクターそれぞれの個性の演出として画が作られているのは衝撃でした
是非見てもらいたいですね
CGのねらいと売り上げ
アニメ作品の売り上げについてはこのブログの過去の記事で
少しだけ触れたような気がするけどめんどくさいので見返しません
意見が食い違っていたら申し訳ありません
作画については「神作画!」「作画崩壊!」など頻繁に言及される一方でです
現実では再現が出来ない映像をCGとして映す例として
ヒックとドラゴンやトイ・ストーリーのキャラたちなどが挙がります
生きているドラゴンをその目で見たことがある人はいないでしょう
おもちゃがアクションしている様を覗いたことがある人はいないでしょう
それにも拘らず、かなりリアルと思えるような質感に仕上がっていますね
CGを全面に出す3DCG作品の場合はクオリティの高さを誇示しなければなりません
また、日本の作品として例えばプリキュアやアイカツなどのダンスシーンでも
ワンポイント的にCGが使われていますし、
最近のテレビアニメ作品では群衆や人の多いシーンでの使用が目立ちます
先日公開された響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレを見て面白いなと思ったのは
ワンショットのメインキャラをバストショットレベルを描いていて(手描き)
その後ろを歩く一般人をウエストレベルで描いていて(これも手描き)
抜けにある背後の大通りを歩くFFの人間たちはCG
というある種CGであることをごまかすような画作りです
(他の作品でも注視すれば余裕でありそう)
ごまかすという表現は少し言葉が悪いような気もしますが
CGであることに嫌悪感を示す層が一定数いる以上、
現状のCG全体についてのマーケティングは上手くいっていないのかな
という印象を受けます
CGの使用の有無にかかわらず 制作側の人間はビジネスである以上、
より良い作品で、お金をより多く稼ぐことを念頭に入れて取り組まなければならないのですが
「売れる作品」を作りたい人と、「面白い作品」を作りたい人に分かれてしまっているような気になることも時折あります
個人的にヒットの意訳は面白いではなく成功とした方が正しいのかなって思います
マーケティングについてはエンドクレジットに載る固有名詞の全てが材料になると思いますが
CGについては演出レベルで関わってくるものなので一番注力してほしいですね
(いち視聴者として勝手な意見)
露骨に最後雑~~~!
記事がかなり長くなってしまいましたが今回の記事はこれにておわりです
ここまで読んでくださりありがとうございました
今年は例年に比べても映画豊作の年のような気がするのでたくさん映画を観ましょう!